善悪について

私はこの世界に対立する善悪などは存在しないと考えています。対立するということはその時の幻想というか思い込みでしかなくて、本質的に私たちを破壊するものは私たち一人一人が乗り越えるしかない「悪」だと思っています。ですので、外に敵を拵えるやりかたはいっさい信用しません。どんなに正しそうな事を言っていてもです、そもそもベクトルの向きが間違っているから。

 

だってそうじゃないですか、どっかの会社どうしが喧嘩してて、そこで大きな地震が起きて「地震で大変な事になってるから喧嘩はひとまずやめよう」といったとかそういう話しを聞いた事がありますが、あらゆる対立はこんなものでしかないと思います。で、一番に恐ろしいものは我々自身の中にあるものです。自分が正しい、他人は間違っているという「考え」が最終的には自分自身を殺す事にもなりかねないわけです。

 

この「考え」を乗り越える方法を、ヨーガや仏教は教えてくれています。というか、もうこれを乗り越えるしかあとはないわけです。

 

 

永井均さん「子供のための哲学対話」

「左翼と右翼ってなに?」より

 

どっちが正しいの?

どっちもおなじようなものだよ。そもそも対立っていうのは、ほとんど前提を共有しているもののあいだでしか起こらないんだよ。ベートーベンの交響曲の指揮者はフルトベングラーがいいかカラヤンがいいかなんて対立は、ベートーベンの交響曲がなにか重要なものだと思っている人たちのあいだでしか、成り立たないんだ。カラヤン・ファンとジャイアンツ・ファンのあいだでは、対立なんて起こりようがない。対立っていうのは、つねになかまうちの対立なのさ。

でも、政治って世の中全てのことに関係しているんじゃないの?

 

全てってことはないさ。全ての問題を左翼的か右翼的かって観点から見るのは、全ての問題をフルトベングラー的かカラヤン的かって観点からみるのとおなじほど、バカげたことさ。